[一般質問]平成24年 2月定例議会
○リニア中央新幹線の中間駅について
【質問】
奈良市付近とされている中間駅設置場所については、JR大和路線と近鉄橿原線が交差する場所に、乗換駅の新設と中間駅の設置によって多大な相乗効果が期待できるとともに、西名阪自動車道や京奈和自動車道、国道24号、25号、大和中央道の接続点であることから、県内各地へ、また県外各地へのアクセスが容易であることや、県下第1位の工業製品出荷額を誇る「昭和工業団地」を中心に県内産業振興につなげることができるという観点を踏まえ、奈良県としては県北和地域のみならず、中南和地域の活性化も視野に入れる必要があり、県経済全体の底上げを図る意味においても、明記されています「奈良市付近」のなかでも、より南に位置し、県内外への総合的な交通アクセスが充実している「大和郡山市」が、最も適した場所ではないかと思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。
【知事】
中間駅については、多くの県民の方々が、できるだけ短い時間で便利に駅に到達できるアクセス性や、遠くからリニアで奈良に来られた方々が、できるだけ便利に多くの目的地に行っていただけることなど、既存の鉄道や高規格道路等との交通結節性の高い地域への設置が必要であると考えています。
早期の駅設置に向けて、県においてもよく検討を行い、国やJR東海に対しても、引き続き働きかけていきたいと思っています。
○友好提携と歴史・文化交流協定について
【質問】
奈良県は「中国・陝西省」「韓国・忠清南道」との友好提携及び「新潟市」と歴史・文化交流協定を締結しましたが、いずれにしても予算を伴うものであり、それぞれの成果を広く県民に還元されるべきとの観点から質問いたします。
「陝西省」「忠清南道」との友好提携については、どのような考えにより行われたのか、その狙いや目的についてお聞きするとともに、それぞれの協定書を踏まえ、今後どのような交流を進めようと考えているのか。また、新潟市との交流協定については、歴史・文化の教養を深めるための具体的な事業展開について、どのように考えているのか、お聞きいたします。
【知事】
奈良は、中国、韓国などの国々と深い交流の歴史があり、お互いの歴史的、文化的な特性を活用して相互理解と友好交流を未来に向けて深めることはそれぞれの地域の振興のためにも大変有意義なことだと考えています。
こうした考え方から、遣唐使が参りました唐の都「長安」の地でありました中国陝西省、また、多くの渡来人が来られました百済の地であります韓国忠清南道と友好提携をいたしました。
この友好提携に基づき、本県と両省道の双方にメリットがある交流を、県民の皆様と共に実施していきたいと思っております。
これらの地域に対しましては、県内の市町村が既に交流を進めてきておられますが、この友好提携に基づき、本県と両省道の双方にメリットがある交流を、県民の皆様と共に実施していきたいと思っております。
陝西省に対しましては、少年交流団の来県に合わせた学校交流や経済交流を予定しており、5月には平城宮跡で開催する「平城京天平祭」に陝西省西安市から西安音楽学院が出演されることになっています。
忠清南道に対しましては、昨年、忠清南道知事が来県された、その答礼団を派遣し、両県道共通の課題である観光振興など様々な分野における交流を検討してまいりたいと思っています。
奈良県と新潟市との交流協定のきっかけは、新潟市出身で古都奈良をこよなく
愛した歌人「會津八一」氏であり、今後の具体的な事業は、5月に図書情報館
において、會津八一記念館収蔵品及び「會津八一の歌を映す」写真コンテスト
入賞作品展や、會津八一記念館の「神林恒道館長」に講演にきていただくこと
を予定しています。
○昭和工業団地周辺の企業立地について
【質問】
「大和まほろばスマートインターチェンジ」の整備が進められ、昭和工業団地周辺は更に工業用地としての利便性が高まるものと考えます。
但し、農業振興との調整という課題があり、その解決に向けた努力は必要でありますが、県として昭和工業団地周辺に更に工業用地を確保するべきではないか。
そのためにも、地元市町村、住民との合意を踏まえ、県の方針とともに周辺の土地利用について、更にもう一歩踏み込んだ施策を早急に打ち立てるべきではないかと考えますがいかがでしょうか。
【産業・雇用振興部長】
工場適地を確保するため、昨年5月に都市計画の線引き見直しにより 安堵町で約3.5ヘクタールを市街化区域に編入したほか、スマートインターチェンジ近隣で川西町が学校跡地周辺を工業用地として活用するための調査事業をはじめており、県としても調査方法の検討や誘致活動の面で協力しているところ。
現在、市街化調整区域での工場立地が可能となるように規制緩和に向けたメニューを設定しており、大和郡山市においては「旧24号線沿道ゾーン」「昭和工業団地西部ゾーン」の2箇所を工業系ゾーンとして指定しています。
今後は、農地としての適切かつ効率的な利用とのバランスも調整しながら、都市計画における一般保留の制度を活用した市街化区域編入や、市街化調整区域の規制緩和を行う工業系ゾーンの指定などの方法が必要と考えます。
そのためには、地元住民の方々との意向調整などが不可欠であり、市町村からの積極的な取り組みを前提とした、協力体制を構築することが必要であることから、今後も、市町村と連携を進めながら、工場適地創出へ向けて努力を重ねてまいりたい。
○学力格差の問題について
【質問】
民主党は、学力格差、学力低下傾向の問題は、その背景として、保護者の経済状況のばらつきがあり、親の所得等によって、こどもの学びの機会に差がつき、結果として、習得できる能力や就業できる職業、ひいては生涯の所得に格差がつく。まさに「格差の世代間連鎖」という問題が起こっていると提言しています。
このため、人生前半の福祉の充実を掲げ「子ども手当」「高校授業料の無償化」に取り組んできたところです。
今日における学力格差を捉え、奈良県の小・中学校における学力格差の実態はどのようになっているのか。
また、学力格差解消に向け、どのような取り組みを行っているのかお聞かせ願いたい。
【教育長】
学力格差については、OECDの学力到達度調査(PISA 2009)で、17の先進工業国及び地域の中で、わが国はイタリア、ドイツ、オランダに次いで学校間の格差が大きいとされています。
学力格差における対策としては、指導主事の派遣、学校アドバイザリーチームの指導支援の他、学力向上支援として、小・中とも各々10校程度に非常勤講師の配置も行っているところです。
その他の取り組みとしては、学校・地域が連携する「学校・地域連携事業」のなかで、学校の実情に応じて体力や規範意識向上の取り組みに加え、学力格差対策にも活用できる仕組みとしているところです。
○県の消防広域化計画について
【要望】
現在、進められている県消防広域化において、奈良市・生駒市が「消防広域化協議会」から、脱退という事態になったが、今後、残る11消防本部の統合をめざし、改めて県の積極的な取り組みをお願いしたい。
【問題提起】
広域行政というスケールメリットに相反して抱える市町村の課題やデメリットへの対応など、関わる難しさはあるものの、各市町村における県への期待はやはり大きいものがある。
広域行政のあり方と関わりについて、県を始めとした各自治体に問われるものは何か、今一度立ち止まって、お互いに考えるべきではないか。
○県中央卸売市場の活性化について
【要望】
県民への食品の安定供給と安全・安心を守る県中央卸売市場の役割は、昨今の、食の安心・安全に対する不安のなかで、益々重要になっています。
しかし、1977年に開場されて以来、約35年の歳月が経過し、施設の老朽化や新たな市場ニーズなどへの対応が求められていますが、抜本的な改善には至っておらないのが現状です。
県では、流通システムの変化など、時代の流れを受け、今後の市場のあり方を、業者も参画して検討されていますが、県営施設として、先ずは、ビジョンを示してから、それぞれの役割分担を明確にすべきであると考えます。
「市場を身近に感じてもらう」「大和野菜や魚食の普及と市場の活性化」そして、「家族連れや観光客が楽しめる施設に充実させ、市場を核に地域の賑わいを生み出すことにつなげたい」と期待するなか、県として県中央卸売市場の活性化に積極的な役割を果たすよう強く要望いたします。