[一般質問]平成22年 9月定例議会
○関西広域連合について
【質問】
①年内に発足予定の「関西広域連合」について、奈良県は今回加入しませんが、この広域連合で実施する業務は、既存の広域連携で十分対応可能なのかお聞きします。
②将来加入することも可能であると聞いていますが、どのような状況になれば加入を再検討されるのかお聞きします。
③県民に対して更に積極的な情報提供と共有を積極的に図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。
【答弁】
①1点目に広域連合は、意思決定の複雑・煩雑化や遅滞、新たな組織の設置による経費の増加などの懸念があります。2点目に、これまで提案されている業務は、すべて広域連携で実施可能で、すでに行っているものがほとんどです。また、本県にはそのほうが効率的です。3点目は、広域連合は新たな行政組織ですので、参加する府県からの権限移譲があることが想定されます。権限移譲がなければ、単なる広域連携で十分なはずです。県から上位の団体である広域連合へ権限を移譲することになれば、それは分権でなく集権ではないでしょうか。それは地方自治、地方分権の考え方に反しているように思います。
②広域連合がよい成果を上げる事例が多く出て、参加したほうがよいという状況を見きわめ、議会での議論の上で慎重に判断していきたいと考えております。
③これまでも県ホームページで情報提供していますが、今後「県民だより奈良」の紙上で、本県の考え方を改めて説明したいと思いますし、丁寧に説明することを心がけていきたいと思っております。
【質問】
TVやネットでご覧になっておられる方は、制度疲労に陥っている国の形を見直すことや、県民の利益を求める上で、必要になってくるのではないかと考えます。多くの知事は、広域連合は、府県の枠組みを保ちながら広域行政に移るもので、道州制につながるものではないと考えておられるようですが、大阪府の橋本知事などは、はっきり「関西州を目指す」とおっしゃられます。いわゆる「同床異夢」の懸念について、荒井知事の思いがあればお聞きいたします。
【答弁】
参加される京都府、大阪府、兵庫県も、政令指定都市を抱えて、それとの関係を考えておられるのか、それが同床異夢とも言えるような考え方に反映しているという感じがします。近畿ブロック知事会で何度も本質にかかわる議論、突っ込んでしましたが、各知事さんの真意、この関西広域連合が必要だと、思っておられるのかが、キャッチできなかった。奈良県民の利益になるかならないかわからない限りは、形だけで飛び込むのは大変おかしい、そのような考えがまだしているところです。
【要望】
県民の利便性を損なわず、かつ奈良県の存在感を失わないためにも、今後の展開については十分注視していただくことと、広く県民に対する情報の提供を行っていただくことをお願い申し上げます。
○介護等福祉事業に従事する人材の確保と育成について
【質問】
①福祉人材の確保が難しい主な原因については、1、福祉・介護職員の高い離職率。特に介護の職場は3K職場と言われ、厳しい職場環境であること、また、理想と現実のギャップ2、福祉職の低い給与水準。介護職の平均賃金は月額平均約21万円程度であり、全産業平均より約10万円以上低いという現実です。人材の確保と育成について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
②質の高い介護福祉士や社会福祉士の養成は喫緊の課題として取り組まれる中、経済的理由で養成機関に入学することが困難な方や、福祉の仕事に就職しようとする方を経済的に支援するための「介護福祉士等修学資金貸付制度」がございますが、平成23年度に期限が切れた後、どのように対応していくのかお伺いいたします。
【答弁】
①県では福祉人材センターを設置し、平成21年度には8786件の求職・求人相談や862件の求職登録、1751件の求人を受け付けております。また、介護職場の社会的評価を高めるために昨年度、奈良介護大賞を新たに創設いたしました。
次に、福祉職場への新規就労を促進するために、介護福祉士養成校の教員が高等学校を訪問し、福祉・介護の仕事を目指す生徒の進路相談を実施するほか、社会人等を対象にした職場体験を実施しています。そのほか、有資格者の再就業のための研修等も実施しております。
次に、介護従事者のキャリアアップ支援のため、介護福祉士養成校の教員が事業所を巡回訪問し、介護技術の研修を実施しています。また、新任職員の悩みに社会福祉士と臨床心理士が相談に応じ、職場への定着を支援しております。
小規模事業者に対しては、共同の求人活動や合同研修を支援するほか、今年度から意欲的に取り組む経営者と連携して、魅力ある職場実現に向け、課題解決の検討の場の創設と実践の支援を行うこととしております。
また、国の補正予算を活用しまして、失業者の介護職場への就職促進と介護サービスの質の向上を図る介護就労お助け事業などを実施しております。
②福祉・介護人材の充足の状況、学生、介護福祉士養成校のニーズ、他の修学資金とのバランス等を総合的に勘案して、平成24年度以降の学生募集に間に合わせるため、今年度中に結論を出せるよう検討を進めてまいります。
○ものづくり産業の活性化について
【要望】
工業技術センターは、今まで県内の多くの中小企業の製品開発に貢献してきましたが、技術相談や共同研究について更に高い技術や広い分野で展開することが求められているため、その体制を更に充実されたい。質・量ともに設備や研究員のさらなる充実を図っていただきたいと強く要望するところでございます。
【質問】
先日発表された中国陝西省への経済ミッション派遣について、海外の市場開拓に結びつく取り組みだと思いますが、その目的と県内企業の反応についてお聞きいたします。
【答弁】
県内企業が多くの刺激を受けることに加え、特に少子・高齢化に伴う国内市場の縮小、中国をはじめとする新興市場の急速な拡大といった状況、また、海外における日本製品の品質や文化への評価を踏まえ、県内企業が海外市場に販路を開拓するきっかけになるといったことも期待しております。
県内企業の反応につきましてですが、今月30日を期限に募集をしていますが、事前にアンケートやヒアリングをしましたところ、陝西省での具体的なビジネスマッチングを検討している企業、消費地として製品を売り込みたいと考えている企業、これまで以上に現地大学と友好を深めようと考えている大学など、30以上の企業等から関心があるとの回答がございました。
○県中央卸売市場の環境整備について
【質問】
①開設以来30数年が経ち、老朽化した市場施設に対する現状認識と今後の整備について、どのように考えておられるのかお聞きいたします。
②関連商品売場棟に再び活気を取り戻すための取り組みと今後の方向性についてお聞きいたします。
【答弁】
①毎年の修繕に加え、平成21年度から平成22年度にかけては、国の経済対策による交付金を活用して約4億4千万円の予算を確保し、施設等の整備に取り組んでいます。主な工事として、商品の安全・安心を確保するため、生鮮食料品を風雨や直射日光から守る荷さばき場の整備や、低温化等に係る冷蔵庫棟改良工事、また、利用者の利便性を高めるため、高齢者等のための洋式トイレの整備、卸売場棟周辺道路の舗装整備、卸売場棟の外部階段の取りかえなどです。なお、今後必要となります保冷施設等、施設の高度化に向けた整備につきましては、市場の将来のあり方の議論の方向性を踏まえながら検討を行う予定をしております。
②流通の環境変化の影響を大きく受け、取扱高が減少し、空き店舗も増加しております。このため県におきましては、平成20年度以降、入店業種の利用要件の弾力化や宣伝誘致活動を行い、2件の新規入店をいただきました。今後、県民への一般開放や、さらには消費者関連施設への一部転換等の抜本的な方策についても検討していきたいと考えております。
【要望】
根本的な改善、改修が必要であるというふうに私自身は求めます。要望とさせていただきます。
○川辺の環境整備について
【質問】
構想案「健やかに生きる」構想の「川辺のまちづくり」飛鳥川周辺の整備について、現状の飛鳥川は、草が生い茂り近隣の人々が立ち入るような環境ではないが、今後の対応策についてお聞きしたい。
【要望】
大和郡山市内において、井堰等により水がせき止められているために滞留し悪臭を放っている「流れない川」が存在する。その現状について今後の課題として認識していただけますようお願いいたします。
【答弁】
行政と地域が一丸となった佐保川などの取り組みを模範に、まず川辺のまちづくり懇談会を8月に立ち上げたところです。懇談会では、地域コミュニティーの再生を目指し、地元や行政、周辺の施設管理者が協働してはぐくむ川づくりについて議論を進めております。今後は、地元協議会の設立や、イベントの開催などの地域と行政の積極的な連携や、周辺の福祉施設や教育施設とも連携を強化して、高齢者などが生き生きと暮らせる川辺のまちづくりに取り組んでいきたいと考えております。
○県内市町村におけるバリアフリー基本構想作成に向けた取組について
【質問】
少子・高齢化対策の一つとして、市町村は、バリアフリー新法に基づき、駅を中心とした地区や、高齢者、妊産婦、乳児連れの方などが利用する施設が集まった地区(重点整備地区)において、基本構想を作成することができるが、県内市町村の取り組み状況と県の支援についてお聞きいたします。
【答弁】
取り組みが積極的な橿原市をモデルケースとして、県も連携し、調査・検討を行い、本年6月に県内第1号の基本構想を作成、公表。現在葛城市においても、取り組みが進められております。
県では、他の市町村においても基本構想の作成が進むよう、本年7月に国土交通省と共同で説明会を開催し、橿原市の事例紹介や基本構想作成の留意点の説明など、有用な情報提供を行いました。現在、大和郡山市などから問い合わせがあるなど、意欲が徐々に高まってきていると感じております。今後は、県民に対しましても、広く情報発信を行うとともに、県民参加のもと、まちのバリアフリーの点検活動を行うなど、県全体としてバリアフリー化の動きが加速されるよう取り組んでいきたいと思っております。
○地域の教育力に関する取組について
【質問】
①学校支援地域本部や放課後子ども教室推進事業等、地域の教育力向上に関する取り組みの現状と成果、今後の方向についてお聞きいたします。
②学校全体が積極的にこれらの取り組みに参画するなど、地域と学校双方の連携がより重要と考えますがいかがでしょうかお聞きいたします。
【答弁】
①登下校の安全指導や環境整備等の活動を30市町村68カ所で展開しています。放課後子ども教室推進事業は平成19年度から、地域の支援を受けて学習やスポーツ、文化活動、地域住民との交流活動を14市町村50教室で実施しています。来年度はこの体制を生かし、発展拡大する方向で、地域での放課後学習、スポーツ教室等で、できるだけ全県的に地域を巻き込んだ放課後支援ができないか模索していこうと考えております。
②学校支援地域本部事業では、本年6月に各市町村教育委員会、学校、コーディネーター、ボランティアを対象に、事業の成果と今後の課題に関するアンケートを実施した結果、子どもの学力や規範意識、コミュニケーション能力の向上につながったが73.9%、地域住民の生きがいつくり、自己実現につながったが60.9%、教員が授業や生徒指導などに、より力を注ぐことができたが56.5%と、総じて肯定的な結果となっているものの、課題として、ボランティアの確保が難しい、教職員の理解と協力が必要など挙げられております。