奈良県議会議員 ふじの良次 
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議会報告

[代表質問]令和4年12月定例議会

1.奈良県中央卸売市場の再整備について

中央卸売市場の再整備においては、賑わいづくりや地域の活性化といった観点から、民間事業者の創意工夫を活用することが重要と考えるが、そうした観点も踏まえ、今後、どのように進めていくのか。

(知事答弁)
県が目指す卸売市場を活かした賑わいづくりを実現するためには、民間事業者の創意工夫を積極的に導入していくことが重要と考えています。
 県が今年7月に実施したアイデア募集では、活気に満ちた市場の雰囲気の中で買い物を楽しめるマルシェや、新鮮な「食」を楽しむフードホールによる賑わいづくりなどが提案されました。
 さらに、集客につながる民間の収益施設として、奈良の薬草を利用した温浴施設や、佐保川の景観などを楽しめるカフェテラスを整備する提案がありましたが、まだ出てきていない提案もあろうかと思います。
 また、各施設の収益性を踏まえた、PFI事業の各方式や定期借地権方式による整備など、整備の仕方、官民の役割分担についてもご意見をいただいたところです。
 今後、県が目指す「食」の拠点づくりに向けて、民間事業者の柔軟な発想を採り入れながら、市場の整備施設や整備手法を決定し、来年度の公募の準備を進めます。
県としては、卸売市場という地域の資産を十分に活用し、来場された人々や周辺にお住まいの方々、市場で働いておられる方々など、多様な人々が交流する活き活きとした市場を目指して、再整備を進めてまいります。

2.県と市町村の協働によるまちづくりについて

近鉄郡山駅周辺地区のまちづくりについて、駐車場の整備や、高田矢田線での環境整備、駅西側の交通問題・踏切対策など、今後、どのように取り組むのか。

(知事答弁)
 近鉄郡山駅周辺地区については、令和元年に県と大和郡山市との協働で「まちづくり基本計画」を策定いたしました。それに基づきまして、近鉄郡山駅の移設や駅周辺の整備に関する検討・協議を進めてまいりました。   そのような中で、珍しいことでございますが、近鉄が駅の費用負担を、県:市:近鉄=1:1:1でいいということを確約されております。その形が今も続いているというふうに考えています。
 今年8月には、県も補助する形で大和郡山市が実施していた調査の結果がやっと取りまとめられました。この調査で、現駅舎を北側に移設し橋上駅舎化する工事について概略設計を行っていただきました。駅を北に移すのと、西側が大変高い坂になっていますので、そこにも出口をつくるという構想であります。地元の方にとっては大変乗りやすい駅になる可能性があります。そのような概略設計に基づき、駅前広場整備等も含めた一連の全体事業費が試算され、概算で100億円強となる見込みが示されました。
 この調査結果を踏まえて、現在、県、市、近鉄の三者で、駅の移設に係る役割分担や費用負担を定める協定の締結に向けた協議に入っているところです。やっと具体的な協議が始まったというふうに思っております。早期の事業着手を図るため、今年度中の協定締結を目指したいと思っています。大事な時期を迎えてきていますので、精力的にこの協議を進めたいと考えております。
 議員ご指摘の課題の事項ですが、やはり、駅前広場の整備や、三の丸駐車場の再配置が重要な事項かと思います。議員ご指摘のように三の丸駐車場をどうするかということはなかなか困難な事項であったように思います。現在、大和郡山市において、これらの整備方法の検討や関係者との調整を進めておられると承知しています。利用者の安全や利便性が確保されるように、県としても、市の検討を支援したいと思っています。
 また、議員もお述べになりましたが、駅周辺の踏切を含む道路交通については、この近鉄郡山駅の北側の部分で城廻り線の建設が進んでいます。近鉄の下を道路が通る県の事業ですが、少し遅いかなと言って毎日見ていますが、徐々に進んできているような状況でございます。一方で、駅前は大変錯綜している状況です。帰宅される子女を迎える車が、所狭しと駐車している状況で、今年度は県において、歩行者や自転車が安全に通行できるような改良の方向性に関する検討を行っています。なかなか難しい道路状況だと思いますが、改良の余地は十分あろうかと思っています。
駅の移設により、車や人の流れが大きく変化すると予想されますが、それを踏まえて、「歩いて健康に暮らすことのできる」というコンセプトにふさわしいまちづくりのあり方を、関係者で検討していきたいと考えています。小さな城下町はうまく作ればとても住みやすいまちになるということを実感しており、ぜひ実現できたらと思っています。

本地区のまちづくりが少しでも早く進むよう、引き続き、関係者と連携して、取組を進めたいと思います。

3.県内公共交通サービスの維持について

地域の円滑な移動手段としてバスネットワークの必要性が高まる一方で、事業としては維持が困難とされ、現在、エリア公共交通検討会議で再編を協議されている「富雄庄田・東山・高の原高山・郡山若草台・王寺シャープ線」などの具体的な維持策について、知事の考えを伺いたい。

(知事答弁)
 公共交通は、県民や観光客などの移動ニーズを支える必要不可欠なサービスです。高齢ドライバーが増えてきている昨今、その重要性はますます高まっています。その維持・充実を図るためには、事業者任せだけではなく、地域の関係者が主体的に参画し様々な知恵を持ち寄る形で、最適な公共交通サービスのあり方を考え、支えていくことが重要だと思ってまいりました。奈良県はこのような分野では先進的な取組をしていると言われています。
 こうした考え方に基づき、本県では、従来から広域バス路線につき、利用者数や収支率など、5つの客観指標に基づき、関係者と改善策を実施する取組を進めてきたところです。方針としては、関係者が主体的に参画すること、2つめに客観指標・エビデンスを大事にしようという精神、3つめに真の需要があるところはサービスを確保していこうという情熱です。  そのような考えを持ち寄って議論することを続けてきました。直近では、本年3月に改定した奈良県公共交通基本計画において、こうした検討の場である「路線別検討会議」を、より多様な関係者が参加する「エリア公共交通検討会議」として新たに位置付けたところです。
 議員がご指摘された5つの路線についても、この「エリア公共交通検討会議」において、県の担当者も参加する形で、必要な見直しについての議論が進行中です。
 具体例を2つほどご報告申し上げますと、「高の原・高山線」については、主な利用者が沿線に立地する大学や研究所の学生・職員であることから、これらの機関にも議論に参加いただいています。学生等の利用ニーズを丁寧に聴き取り、時間帯や運行ルートの見直しや、近隣の鉄道駅における乗り継ぎの改善といった、具体的な改善策を検討しています。
 また、「東山線」は、主に山添村と奈良市東部地域の住民の生活に欠かせない郊外路線です。沿線の方々からいただいたご意見を踏まえ、市街地の商業施設に直接乗り入れる便の新設など、潜在的な需要の喚起につながる取組を、来年度から実施する方向で調整を進めています。案がまとまれば、実験的にでも路線を変更する形が望ましいと思っています。このほかの路線についても、鋭意検討が進められていると聞いております。
 県ではこれからも、県民の暮らしや社会・経済活動を支える県内の公共交通の維持・充実に、関係者と連携しながら、しっかり取り組んでまいります。

4.企業誘致について

雇用の創出につながる企業誘致をより一層進めるためには、更なる工業ゾーンの創出が必要と考えるが、現状と今後の見通しについて伺いたい。

(知事答弁)
 私は、知事就任以来、県経済の活性化、特に県内の雇用創出を重要な課題として、企業誘致に力を注いでまいりました。具体的には、「企業立地推進課」を立ち上げ、組織体制を整えるとともに、県内への投資を促進する「奈良県企業立地促進事業補助金」を用意しました。企業立地セミナーを実施し、様々な事業者の方にお会いする中で、当該補助金について効果が高いとのご意見をいただくことが多く、事業者の方に高い関心を示していただいています。
 これらの積極的な誘致活動の結果、平成19年から令和3年の15年間で、424件の企業誘致を達成し、今後の採用予定も合わせ約5千9百人の雇用創出につながりました。この数値は、本県の製造業従事者数の約9.6%、約1割にも及ぶ大きな数字であり、県の取組により達成した雇用創出と思っております。
工場立地のメリットは、この雇用創出の他に、市町村への固定資産税の増加という効果が大きくあると思っています。工場立地されると、概ね
30年以上、50年にわたって立地されますが、その間固定資産税が支払われ、それが立地市町村の財政に大きく寄与するのが通常です。各市町村はそのようなことに目覚めていただいているように思います。
 一方で、議員お述べのとおり、産業用地の不足が課題となっております。企業の立地要望が絶えることなくありますので、産業用地の確保は必要と考えており、県では、市町村と連携して工業ゾーンの創出に取り組むとともに、熱心に取り組まれている市町村もある状況です。
 例えば、川西町では、唐院工業団地の拡張に取り組み、県内外の工場を集約し大規模立地となる企業と、県内初進出企業の2社の立地が決定し、来年春の引渡し予定となっています。
 また、田原本町十六面・西竹田地区では、10社の立地が決定し、順次、施設の建設が進められています。
 広陵町の箸尾地区でも、新たな工業団地造成に着手しており、本年2月に9社の立地が決定しました。
 これら市町村の産業用地創出の取組を後押しするため、県では、市町村職員向けの研修会や、実現可能性調査への補助を行っています。
 今年度からは新たに、実現可能性調査の次の段階となる、基本計画策定への補助制度も設け、具体的な事業化につながるよう支援したいと思っています。
 また、県が自ら取り組んでいる(仮称)御所IC工業団地については、現在実施しているニーズ把握のための「立地意向企業募集」に、既に17社のエントリーがあり、手応えを感じています。早期の企業募集に向け、効率的、計画的に進めてまいります。
近隣の関連地区の工業ゾーン化の動きも感じられ、県が南部の工場誘致のシンボルと考えて、直接整備を進めている当該事業の効果が、出始めているのではないかという手応えを感じているところです。
 今後とも、県内での雇用の確保と県経済の活性化を図るため、市町村との連携・協働を強め、企業誘致と産業用地の確保に努めてまいります。

5.ICT教育について

ICT教育が進む中、ICT支援員や共通必修科目となった「情報I」を担当する情報教員の確保が重要と考えるが、現状と今後の取組について伺いたい。

(教育長答弁)
 教師の授業力とICT支援員の専門スキルにより、新学習指導要領に則した新たな学びの実現を可能とするためには、ICT支援員の充実が必要であると考えています。本県の公立学校におけるICT支援員の配置状況は、4.9校に1人と全国平均の5.7校に1人を若干上回っています。
 また、1人1台端末環境の円滑な運用面の支援を強化するために、県教育委員会と市町村教育委員会が共同でGIGAスクール運営支援センターを設置しています。同センターでは、ICT支援人材の育成や確保に努めるなど、学校や市町村を越えて広域的にICT教育を支援しています。
 次に、高等学校における情報科担当教員については、全国で情報免許を持たない教員が約1割以上もいることが課題となっています。奈良県の状況としては、情報科担当教員46人のうち2人は、理科・数学の免許を有する教員で担当しています。
 情報の免許を有する教員の確保については、これまでから教員採用試験において、情報免許を持つ受験者に対して加点を行うことなどで対応してきました。それに加えて今年度実施の採用試験では、情報科単独で教員募集を行い、2名の教員を確保しています。
 今後は、計画的な採用を継続しながら、社会人特別選考を活用してシステムエンジニアなどの実務経験者を任用するなど、より専門性の高い教員を確保することで、本県の情報教育の推進・充実に努めてまいります。 

6.学校における働き方改革について

学校における働き方改革をより一層推進するためには、支援スタッフや外部人材 の活用等が重要と考えるが、現状と今後の取組について伺いたい。 

(教育長答弁)
 教員の長時間労働が深刻な状況にある中で、教員が心身ともに健康で児童生徒と十分に向き合う時間を確保し、教育の質の向上を図るためには、教員の働き方改革をより一層進めていく必要があると認識しています。
 県教育委員会では、教員の業務軽減を目的に、学習プリント等の印刷など教員を支援するスクール・サポート・スタッフを配置する16市町村1組合と、学級担任等を補助する学習指導員を配置する11市町村に、財政支援を行っています。
 また、児童生徒が抱える課題が多様化・複雑化しており、支援が必要な児童生徒や家庭に対しては、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを県内全ての市町村で活用できる体制にするなど、専門スタッフの配置・派遣により、教員との効果的な役割分担を可能としています。
 特に、中学校教員の負担が大きい部活動指導については、地域へ移行するため、外部人材の活用を進めています。県スポーツ協会、県吹奏楽連盟など関係機関や団体との連携を図り、指導者の人材バンクを設置するとともに、(仮称)地域部活動推進の手引きを作成することにより、休日の新たな地域クラブ活動への移行に向けた取組を推進してまいります。
 現在、全教員を対象に、働き方に関するアンケートを実施しています。勤務実態を詳細に把握、また分析をしながら、教員の長時間労働を解消するための実効性のある取組を引き続き検討、実施する所存です。

7.大和郡山市内の河川改修について【要望】

県においては、荒井知事を先頭に「災害に強い奈良県」の実現のため、河川改修を始めとした、災害の発生を未然に防ぐ取り組み、あるいは災害を最小限に食い止める取り組みを進めておられることに、改めて敬意を表するところでございます。
「ながす対策・ためる対策」を柱とした「大和川流域総合治水対策」を進めるとともに、平成30年5月からは「奈良県平成緊急内水対策事業」が行われており、喫緊の課題である内水浸水被害の解消に向け、市町村と連携して、対策に必要な貯留施設の整備を進めておられます。
また、昨年12月、「特定都市河川浸水被害対策法の改正」による全国初の「特定都市河川」の指定を受けられたことによって、今後の整備促進が期待されるところです。
一方、大和川の支川に対する整備も進めていかなければなりません。
私の地元であります大和郡山市内では、以前にもお聞きした「佐保川」については、現在、国において河川改修が進められています。
その佐保川の上流であります「地蔵院川」については、令和3年度で「大久保井堰」までの護岸工事が完成しています。
奈良市と大和郡山市をまたがる「地蔵院川」は、流路延長、約6キロメートル。
昔から洪水氾濫を繰り返してきた川であり、現在も、浸水対策として設けた請堤が残っています。
毎年、非常に激しい雨による水位の上昇は後を絶ちません。
令和4年度、今日現在までにおける水位実績は、水防団待機水位超えが13回。高齢者等避難の判断水位超えが3回。そのほとんどが、避難指示氾濫危険水位の一歩手前でした。
その中には、夜中に避難判断水位を超えており、就寝中に避難をしなければならず、大雨が降ると安心して寝ていられないとの声も聞かれます。
現在においても、順次、整備が進められていることは承知しておりますが、地域住民が安全に安心して生活ができるよう、1日も早い整備完成を強く要望しておきます。

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